子どもの背泳ぎは、手の回し方だけを覚えれば泳げるようになる種目ではなく、背浮きで力を抜けること、顔と胸と腰の位置が安定すること、キックで姿勢を保てることがそろって初めて前に進みやすくなるため、順番を飛ばして教えるとかえって怖さや苦手意識が強くなりやすい泳ぎです。
特に子どもは、鼻に水が入る感覚や、天井しか見えない不安や、耳が水に入る違和感に敏感なので、大人が思う以上に背泳ぎの最初の一歩でつまずきやすく、クロールより簡単そうに見えても、実際には安心して浮ける感覚を先につくることが上達の近道になります。
背泳ぎが苦手な子に多い悩みは、足が沈む、腰が落ちる、まっすぐ進めない、手を急いで回して苦しくなるという四つに集まりやすく、これらは才能の差よりも、姿勢とリズムと練習の順番が合っていないことから起こる場合が多いので、原因を分けて直す視点が大切です。
ここでは、子どもの背泳ぎが上達するコツを、最初に意識したい基本、つまずきやすい原因、自宅でできる準備、プールで試しやすい練習メニュー、25mにつなげるときの注意点という流れで整理し、保護者や指導者がそのまま使いやすい形でまとめます。
子どもの背泳ぎが上達するコツ
子どもの背泳ぎを早く安定させたいなら、まずは沈まない形をつくり、その次にキックで形を保ち、最後に腕を合わせる順で教えるのが基本であり、最初から速く泳がせようとするより、楽に浮きながら進める感覚を育てるほうが結果的に25m到達も早くなります。
実際に背泳ぎの指導で共通して重視されるのは、背浮きで力を抜くこと、頭から足先までを一直線に近づけること、キックを止めずに一定のリズムで泳ぐことであり、子ども向けの練習でもこの三つを外さないだけで泳ぎの安定感は大きく変わります。
背浮きが最初の土台
背泳ぎのコツを子どもに伝えるときに最初に押さえたいのは、泳ぐ前に背浮きで安心して水に体を預けられるかどうかであり、ここが不安定なまま腕や足の動きを増やすと、動けば動くほど体が沈んで苦手意識が強くなります。
背浮きができる子は、顔に力が入りにくく、呼吸も乱れにくく、キックやストロークを入れても姿勢が崩れにくいため、見た目には地味でも背泳ぎ全体の上達を左右する一番大きな土台として考えるのが適切です。
練習の最初は、ビート板を胸に軽く抱える、または背中を下から支えて数秒浮くところから始め、浮けた時間を少しずつ伸ばしていくと、子どもは水に任せても大丈夫だと理解しやすくなります。
この段階で大切なのは距離や速さではなく、首と肩の力が抜けているか、自分で立てる安心感があるか、浮いている時間に表情がこわばっていないかを見ることであり、怖さが残るなら次の段階へ急がないことが上達の近道です。
顔を上げず耳を水に預ける
背泳ぎで沈みやすい子の多くは、鼻に水が入りそうという不安からあごを上げて顔を持ち上げてしまいますが、頭を起こすほどシーソーのように足が下がり、本人はキック不足だと思っていても実際は頭の位置が崩れていることが少なくありません。
子どもには、顔を無理に上げるのではなく、耳を水の枕にのせるつもりで頭を預けようと伝えると感覚がつかみやすく、真上を見る意識よりも、耳たぶが軽く水に入る位置を覚えさせたほうが姿勢は安定しやすくなります。
屋内プールなら天井の一点をぼんやり見る、屋外なら空を見るつもりで視線を固定し、足元を見ようとしない練習をすると、頭が起きにくくなって腰や足の沈みも同時に改善しやすくなります。
ただし、水が顔にかかるたびに慌てて首を固めると逆効果なので、最初は浅い距離で呼吸を落ち着かせながら行い、顔が濡れてもすぐ立てる環境で練習することが、恐怖心をため込まない教え方につながります。
おへそを上げて一直線をつくる
背泳ぎでは、おへそが沈んで体がくの字になると水の抵抗が急に増えるため、子どもには背中を反らす意識よりも、おへそを空に近づけて体を長く伸ばす意識を持たせるほうが、腰が落ちにくく楽に進める形をつくりやすくなります。
一直線の姿勢と聞くと固めるイメージを持ちやすいものの、実際には全身を力ませる必要はなく、首と肩はゆるく保ちながら、お腹だけ軽く張って一枚の板のような形を保つ感覚を覚えることが大切です。
練習では、背浮きの状態でコーチや保護者が腰の下に手を入れ、浮いた高さを子ども自身に感じさせてから手を離すと、どの位置に体があると沈みにくいのかを感覚で覚えやすくなります。
なお、おへそを上げようとして腰だけを強く反らせると苦しくなってしまうので、胸と腰を同時に少し浮かせるつもりで体全体を平らに保つことを伝えると、無理のない姿勢づくりにつながります。
キックは股関節から小さく速く
子どもの背泳ぎで進まない原因として非常に多いのが、膝から先だけをばたばた動かすキックであり、この動きは水しぶきは大きくても推進力が出にくく、足が沈んで姿勢を崩すきっかけにもなります。
背泳ぎのキックは、ひざを強く折るのではなく、股関節から脚全体をしならせるように動かし、足首の力を抜いて足の甲で水をとらえる感覚を覚えることで、体を安定させながら前へ進みやすくなります。
子どもに説明するときは、太ももから小さく速く動かす、足の甲で水面をやさしくたたく、ひざを天井に突き出さないといった短い言葉が伝わりやすく、動きを細かく言いすぎないほうが成功しやすいです。
特に沈みそうになると大きく蹴りたくなりますが、脚を大きく振るほど上半身まで揺れて姿勢が崩れやすいため、まずは小さな幅で一定に打ち続けることを覚えさせるほうが、泳ぎ全体の安定には効果的です。
手は急がず一定のリズムで回す
背泳ぎを覚え始めた子どもは、腕を速く回せば進むと思いがちですが、姿勢とキックが整っていない段階で手だけを急がせると、腕が真上に来た瞬間に体が沈みやすくなり、結果として呼吸も乱れて途中で止まりやすくなります。
まず覚えたいのは、手を高く速く回すことではなく、左右交互に同じテンポで動かし続けることであり、一定のリズムがつくとキックも合わせやすくなって背泳ぎ特有のふらつきが減っていきます。
子どもには、太ももから手を抜いて耳の横を通し、水をつかんだら太ももまで押すという流れをゆっくり繰り返させ、片手ずつの練習から始めると、どこで力を入れるのかを理解しやすくなります。
ここで大切なのは大きく回すことより止めないことであり、動きが小さくてもテンポがそろっていれば泳ぎは安定しやすいので、最初からきれいなフォームだけを求めすぎないことも重要です。
先に覚えたい練習の順番
子どもの背泳ぎは、できない部分を一気に全部直そうとするより、怖さが少ない順に積み上げると習得しやすく、背浮きからキック、けのび、片手、両手という流れを守るだけでも成功体験をつくりやすくなります。
とくに背浮きが不安な子にいきなり両手回しをさせると、顔がこわばって全身が硬くなり、できたはずのキックまで乱れるので、段階を細かく分けて小さな達成を重ねることが指導の質を上げます。
- ビート板ありの背浮き
- 補助ありの背浮き
- 背面キック
- けのび+背面キック
- 片手ずつのストローク
- 両手の背泳ぎ
この順番なら、子どもは何を先にできればよいのかが分かりやすく、保護者も今日は浮くことだけ、次回はキックまでというように目標を切り分けられるため、練習が感情的になりにくいという利点もあります。
逆に、級の合格を急いで順番を飛ばすと、一時的に泳げたように見えても長く続かないフォームになりやすいので、背泳ぎこそ段階練習を丁寧に守る価値が高いと考えてください。
つまずき別の直し方
背泳ぎが苦手な子どもほど、問題が一つではなく、怖さから顔が上がり、その結果として腰が沈み、沈むのでキックが大きくなり、最後にまっすぐ進めなくなるというように、原因がつながっていることが多くあります。
そのため、見た目に表れている失敗だけを叱るのではなく、どの部分が最初の崩れになっているかを見つけると修正は早く、保護者や指導者が原因を整理して観察するだけでもアドバイスの質は大きく変わります。
| 見られる様子 | 考えやすい原因 | 先に直す点 |
|---|---|---|
| 足が沈む | 顔が上がる、膝打ち | 頭の位置と小さなキック |
| 曲がる | 左右差、視線のぶれ | 天井の目印と片手練習 |
| 苦しくなる | 手を急ぎすぎる | 一定テンポのストローク |
| 怖がる | 背浮き不足 | 補助ありの背浮き |
このように整理すると、今の練習で何を増やし何を減らすべきかが見えやすくなり、子どもにも今日は足ではなく頭の位置を直そうというように、一つだけ課題を渡せるようになります。
子どもは同時に多くの指示を受けると動きが固まりやすいので、原因を分けたうえで一回の練習につき一テーマに絞ることが、失敗を減らして自信を残す教え方になります。
子どもが背泳ぎで止まりやすい原因

背泳ぎが苦手な子どもは、技術以前に水への不安が残っている場合が多く、うまくいかない場面を細かく見ると、怖さが先にあって体が固まり、その結果として姿勢もキックも崩れるという流れがよく見られます。
ここでは、なぜ子どもが途中で止まるのかを、気持ちの面と動きの面の両方から整理し、感覚的に怒らずに原因を見つけられるようにしていきます。
水への怖さが力みに変わる
子どもが背泳ぎで急に体を起こしたり、手を止めたり、顔をしかめたりするなら、それはやる気がないのではなく、背中側に水を預ける感覚や鼻に水が入るかもしれない不安が残っていて、反射的に力が入っている可能性が高いです。
背泳ぎは顔が水面に出ているので楽そうに見えますが、逆に見える情報が少ない分だけ不安を感じやすく、怖さがある子ほど首、肩、太ももに力が入り、浮力を自分で打ち消してしまいます。
この状態では、正しいフォームを説明しても体が受け付けにくいため、まずは短い距離で背浮きを繰り返し、立てる位置で何度も成功させることで、安心感を先に増やすほうが改善は早いです。
保護者や指導者が気をつけたいのは、怖がる様子を甘えと決めつけないことであり、背泳ぎでは気持ちが整うだけで急に上手くなる子も多いので、心のハードルを下げる配慮は技術指導と同じくらい重要です。
逆効果になりやすい動き
背泳ぎで止まりやすい子には共通した癖があり、本人は頑張っているつもりでも、実はその頑張りが沈みや曲がりを強めていることがあるため、まずは逆効果の動きを知ることが修正の近道になります。
とくに子どもは、沈みそうになると大きく強く動こうとしやすいものの、背泳ぎは大きさよりも形とテンポの影響が大きいので、動きを増やす前に減らす勇気を持つことが大切です。
- あごを上げて足元を見る
- ひざから先だけを強く打つ
- 腕を急いで回す
- 息を止めて泳ぐ
- 失敗するとすぐ立つ
- 左右で違う大きさに動く
これらの動きが出ているときは、全部を直そうとせず、まず頭の位置だけ、次にキックの幅だけというように順番を決めると、子どもは成功の感覚を残したまま修正しやすくなります。
練習中に失敗が続いたときこそ、頑張り方を変える必要があるサインなので、回数を増やす前に動きの質を落ち着いて見直すことが、遠回りに見えて最短になるケースが多いです。
原因とサインの整理
子どもの背泳ぎでは、見ている大人がどこを観察するかでアドバイスの精度が変わるため、何となく悪いと感じるだけで終わらせず、表情、頭、腰、足、腕の順に見る癖をつけると原因がつかみやすくなります。
実際には一つのサインから複数の原因が見えることもありますが、まずは一番上流の問題を見つけることが大事であり、背泳ぎでは頭の位置と怖さが上流にあることがとても多いです。
| 観察する場所 | 見たいサイン | 考えること |
|---|---|---|
| 表情 | 眉間が固い、口が止まる | 不安が強い |
| 頭 | 起きる、左右に揺れる | 視線が定まらない |
| 腰 | 沈む、くの字になる | 姿勢が崩れている |
| 足 | 水面から出る、膝が曲がる | キックの方向が悪い |
| 腕 | 慌てる、片側だけ強い | テンポが不安定 |
この表のように見る場所を決めておくと、練習後に今日はどこが良くてどこを直すかが共有しやすく、子どもにも自分の変化が伝わりやすくなるため、やみくもな反復練習を減らせます。
観察のコツは、できない点だけでなく、一瞬でも浮けた、まっすぐ進めた、手を止めずに続けられたという良い場面を見つけることであり、その成功の再現を目標にすると上達は安定します。
家でできる背泳ぎの準備
子どもの背泳ぎはプールだけで上達させようとすると練習時間が足りず、毎回水に入ってから感覚を思い出す形になりやすいので、自宅でも姿勢やリズムを確認できる準備を取り入れると上達速度が変わります。
家での練習は泳ぐための代用ではありませんが、怖さを減らし、体の使い方をシンプルに理解させるには非常に有効であり、短時間でも継続するとプールでの成功率が上がりやすくなります。
布団の上で姿勢を覚える
背泳ぎの一直線の姿勢は、水の中でいきなり覚えるより、まず布団やマットの上で仰向けになり、耳、肩、おへそ、ひざ、つま先が長く伸びる感覚を陸で確認したほうが子どもには理解しやすいです。
このとき、あごを上げるのではなく首の後ろを長くし、肩をすくめず、お腹を軽く張って体を一本の棒のように保つ練習をすると、水中で沈みにくい姿勢の土台がつくれます。
両手を体の横、次に頭の上へと位置を変えながら、どの姿勢が苦しくなく保てるかを一緒に確かめると、ストリームラインに近い形でも無理なく力を入れる場所が分かってきます。
大切なのは腹筋運動のように頑張らせることではなく、背泳ぎで楽に伸びる形を体に覚えさせることなので、十秒ほど静かに保つ練習を数回行うだけでも十分に意味があります。
お風呂でできる感覚づくり
お風呂は深さがなくすぐ立てるため、背泳ぎに苦手意識がある子どもでも安心して感覚をつくりやすく、耳に水が入る感覚や顔を上げない練習をやさしく試す場所として活用しやすい環境です。
とくに鼻に水が入るのが怖い子は、湯船で後頭部を壁にもたせたり、保護者の手で軽く支えたりしながら、顔を起こさなくても呼吸できることを体感させると、プールでの抵抗感が下がりやすくなります。
- 耳を少し湯につける
- 天井を見る
- 肩の力を抜く
- お腹を軽く張る
- 足首をぶらぶら動かす
- 短く数えて浮く
このような練習は一回で劇的に変わるものではありませんが、毎日数分でも続けると、水に預ける感覚が日常の延長になり、プールで背浮きに入るまでの時間が短くなっていきます。
ただし、浴室では絶対に目を離さず、ふざけてのけぞらせたり勢いよく沈めたりせず、あくまで安心感を増やす目的で静かに行うことが、良いイメージを守るうえで欠かせません。
陸トレの目安を整理
背泳ぎでは体幹が安定していないと腰が落ちやすくなるため、子ども向けでも無理のない範囲で体を支える感覚を育てる陸トレを取り入れると、泳ぎの安定感を底上げしやすくなります。
とはいえ、きつい筋トレをさせる必要はなく、背泳ぎで大切なのは力を入れ続ける強さよりも、長い形を保ちながら手足を動かす支えの感覚なので、短時間で丁寧にできる種目を選ぶことが大切です。
| 種目 | 回数の目安 | 意識したいこと |
|---|---|---|
| 仰向け姿勢キープ | 10秒×3回 | 首を長く保つ |
| 足首ぶらぶら | 20秒×2回 | 力を抜く |
| 片脚上げ下げ | 左右10回 | 腰をぶらさない |
| 壁に手をつく肩回し | 10回 | 肩をすくめない |
これらの陸トレは、背泳ぎ専用の特別な能力をつくるというより、沈みにくい姿勢とやわらかいキックを邪魔しない体の使い方を覚えるための準備として考えると取り入れやすくなります。
疲れてフォームが雑になるほど行う必要はなく、よい姿勢のまま終えられる量で止めることが、水の中の動きにつなげるためにはむしろ重要です。
プールで試したい練習メニュー

子どもの背泳ぎは、一回の練習で長く泳がせるより、短い距離で目的をはっきり分けたメニューを回したほうが上達しやすく、浮く、進む、腕を合わせるという要素を順に整理すると練習に無駄が出にくくなります。
ここでは、保護者や先生でも取り入れやすいように、プールで実践しやすい練習の流れと、短時間で集中しやすいメニューの組み方を紹介します。
壁けりから背面キックへつなぐ
プールで最初に取り入れたいのは、壁を軽く蹴って背面で進む練習であり、止まった状態からキックを始めるよりも、最初に少し進む感覚があるほうが子どもは背泳ぎの形を保ちやすくなります。
壁けりのときは、あごを上げず、耳を水に預け、お腹を軽く張ったまま小さなキックに入ることを意識させると、姿勢と推進のつながりをまとめて練習できます。
はじめは二メートルから五メートルほどで十分であり、距離を欲張るより、壁を蹴った直後の姿勢がきれいかどうかを確認しながら繰り返したほうが、沈みにくいフォームを覚えやすいです。
この練習でまっすぐ進めるようになると、その後の片手や両手の背泳ぎでも体が暴れにくくなるので、腕を回す練習の前に入れておく価値が高いメニューといえます。
15分で回せる練習表
子どもは集中が切れるとフォームが崩れやすいため、長時間だらだら泳ぐより、短いメニューを区切って回すほうが成功体験を残しやすく、保護者も何をやればよいか迷いにくくなります。
背泳ぎの練習では、とくに最初の数分で浮く感覚を整え、その後にキック、最後にストロークへ進む流れを固定しておくと、毎回の練習で体が入りやすくなります。
| 時間 | 内容 | ねらい |
|---|---|---|
| 3分 | 背浮きと呼吸 | 怖さを減らす |
| 4分 | 背面キック | 姿勢を安定させる |
| 4分 | けのび+キック | 一直線をつくる |
| 4分 | 片手から両手へ | リズムを合わせる |
この程度の短さでも、目的が明確なら十分に効果があり、毎回同じ順番で行うことで子ども自身も次に何をするか分かるようになって、練習への不安が減っていきます。
もし途中で崩れたら、その場で両手の練習を続けるのではなく、背浮きやキックに一度戻る勇気を持つことが、最終的にはきれいに泳げる時間を増やす近道です。
上達を早める声かけ
子どもの背泳ぎは、説明の内容だけでなく声かけの言い方で動きが大きく変わり、細かな専門用語を並べるより、短くて体のイメージがわく言葉のほうがフォーム改善につながりやすいです。
たとえば、ひざを曲げないでと言うより太ももから小さく、顔を上げないでと言うより耳を水に預けようという言い換えのほうが、子どもは何をすればよいか想像しやすくなります。
- 耳を水の枕にのせよう
- おへそを空へ近づけよう
- 足は小さく速く動かそう
- 手は急がず同じ速さで回そう
- 今日は五メートルをきれいに進もう
- 今の一回はとてもよかったよ
このように、できていない点だけでなく、何ができたかを言葉にして返すと、子どもは再現したい感覚を持ちやすくなり、練習のたびに少しずつ自分で修正できるようになります。
反対に、一度で全部直そうと長く説明すると、水の中で考えることが多くなりすぎて体が止まるので、一回の声かけは一つか二つに絞る意識が大切です。
25mにつなげるときの注意点
子どもの背泳ぎが数メートルできるようになると次は25mを目指したくなりますが、距離を伸ばす段階では新しいフォームを増やすより、今ある形を崩さずに続ける力を育てることが重要になります。
ここで焦って速さや回転数ばかり求めると、これまで身についた背浮きやキックの安定が崩れやすいので、距離の伸ばし方にも順番と目安を持っておくことが大切です。
まっすぐ進む感覚を育てる
25mに近づくほど、子どもの背泳ぎではまっすぐ進めないことが大きなロスになり、少し曲がるだけでも不安が増えて姿勢が崩れやすくなるため、方向感覚の練習は早い段階から入れておきたい要素です。
背泳ぎでは天井の一点や左右のコースロープとの距離感を手がかりにすると直進しやすく、片手の動きに左右差がある子は片手練習で進み方の偏りを確かめると、自分の癖に気づきやすくなります。
練習では、短い距離を二本泳いで曲がり方を確認し、次の一本では視線だけ意識するというように、原因を一つに絞ると修正しやすく、ただ長く泳ぐより効果的です。
曲がること自体を強く叱るより、どちらへ寄りやすいかを一緒に観察しながら直すほうが子どもの不安を減らせるため、方向の修正は失敗探しではなくゲームのように取り組むと続けやすくなります。
レベル別の目標整理
25mを目指すときに大切なのは、いきなり完泳だけを目標にしないことであり、子どもは途中の小さな達成が見えたほうが前向きになりやすいので、距離と内容の両方で段階目標を設定すると練習が続きます。
たとえば五メートルでは姿勢、十メートルではキックの継続、十五メートルでは手を止めないこと、二十五メートルではテンポの維持というように、段階ごとに主役を変えると課題が整理しやすくなります。
| 距離の目安 | 優先したい課題 | 合格の見方 |
|---|---|---|
| 5m | 背浮きと頭の位置 | 沈まず進める |
| 10m | キックの継続 | 足が止まらない |
| 15m | 腕のリズム | 慌てず回せる |
| 25m | 全体のテンポ | 途中で崩れにくい |
このような目安を持つと、今日は十メートルまで安定したから前進だと判断しやすくなり、合格か不合格かだけで見ない練習ができるため、子どもの気持ちも折れにくくなります。
また、同じ25mでも、苦しそうに何とか泳ぐより、十五メートルをきれいに三回泳げるほうが次につながることは多いので、見た目の距離だけで成長を測らない視点も持っておきたいところです。
やりすぎを防ぐ練習ルール
背泳ぎが少しできるようになると、子ども本人も大人も回数を増やしたくなりますが、疲れて姿勢が崩れたまま泳ぎ続けると悪い形を覚えやすくなるため、練習量にはあらかじめ止めどきを決めておくことが大切です。
とくに背泳ぎは、首や腰に違和感が出ても子どもが言葉にしにくいことがあるので、顔が固くなる、足が極端に沈む、手のテンポが急に乱れるといったサインを見たら、量ではなく質を優先して切り上げる判断が必要です。
- 崩れたら一度背浮きに戻る
- 連続で長く泳がせすぎない
- 一回の課題は一つに絞る
- 成功で終わる本数を残す
- 怖がった日は距離を追わない
- 疲れたら別メニューへ切り替える
このルールを決めておくと、練習が感情的になりにくく、子どもも今日はどこまで頑張ればよいか分かるため、必要以上に追い込まれて背泳ぎそのものを嫌いになるリスクを減らせます。
上達が早い子ほど量を増やしたくなりますが、フォームの安定を壊さない範囲で終えることが長い目では伸びやすいので、もう少しできそうなところで終わる勇気も指導の一部です。
子どもの背泳ぎを伸ばすために押さえたいこと
子どもの背泳ぎを上達させるコツは、手を速く回すことでも、たくさん泳がせることでもなく、背浮きで安心して力を抜ける状態をつくり、頭の位置、おへその高さ、小さく続くキック、一定の腕のリズムという順番で土台を積み上げることにあります。
背泳ぎで沈む、曲がる、苦しくなるといった悩みは、それぞれ別の問題に見えても、実際には怖さや姿勢の崩れが出発点になっていることが多いため、原因を分けて一つずつ直す意識を持つだけで練習の質は大きく上がります。
また、子どもは水の中で多くの指示を同時に処理しにくいので、一回の練習ではテーマを絞り、短い距離で成功体験を重ね、自宅では姿勢や力の抜き方を確認しながら、プールでは順番どおりに段階練習を進めることが効果的です。
25mを目指す段階でも、距離だけを追わずに、きれいに浮けた、キックが止まらなかった、まっすぐ進めたといった小さな成長を積み重ねていけば、子どもの背泳ぎは無理なく安定していくので、焦らず丁寧に土台を育てていきましょう。



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