クロールは水泳の基本種目として最初に取り組む人が多い一方で、見よう見まねで泳げてしまうぶん、フォームの乱れをそのまま固定してしまいやすい泳ぎでもあります。
足が沈む、息継ぎのたびに止まる、腕を回しているのに進まない、25mで息が上がるという悩みは、筋力不足だけで起きているのではなく、水平姿勢と呼吸のタイミングが崩れた結果として起きていることが少なくありません。
実際に、スイミングの指導現場では、けのびで作る一直線の姿勢、水中でしっかり吐いて横で吸う呼吸、肩から大きく回すストローク、身体を開いて使うローリングが、クロール上達の土台として繰り返し重視されています。
この記事では、クロールのフォームを良くしたい人に向けて、正しい形の基準、崩れやすい原因、修正しやすい練習順、呼吸とテンポの合わせ方、速く泳ぎたい場合と長く泳ぎたい場合の違いまで、検索意図に沿って順番に整理していきます。
クロールのフォームは水平姿勢と呼吸の連動で決まる
クロールのフォームを一言で表すなら、ただ腕を回す形ではなく、身体をできるだけ一直線に保ちながら、呼吸でその線を壊さずに前へ進み続ける形です。
見た目がきれいでも、息継ぎのたびに頭が上がったり、片腕をかくたびに腰が沈んだりすると、推進力より抵抗が増え、疲れる割に進まない泳ぎになります。
逆に、頭の位置、胸の向き、腰の高さ、キックの幅、腕の軌道、呼吸のタイミングがつながると、強く力まなくても水の上を滑る感覚が出やすくなり、フォーム改善がそのまま距離やタイムの伸びにつながります。
水平姿勢を最優先にする
クロールのフォームで最初に整えるべきなのは、手のかき方よりも、身体が水面近くで長く一直線を保てているかどうかです。
頭だけが高く、胸が反り、腰と脚が沈んだ状態では、どれだけ腕を速く回しても進行方向に対する抵抗が大きくなり、ひとかきごとの前進量が小さくなります。
ミズノのスイムアドバイスでも、速く泳ぐ場合も長く楽に泳ぐ場合も、共通の重要ポイントとしてフラット姿勢が紹介されており、コナミスポーツクラブの解説でも、身体をしっかり伸ばして水平に保つことが基本として挙げられています。
感覚としては、胸を少しだけ水に預けて、みぞおちから前が沈みすぎない位置を探し、腰と太ももが後ろへ落ちないようにするのがコツで、足先まで長く伸びるラインを作れたときに水の抵抗が目に見えて減ります。
初心者ほど進もうとして手足を大きく動かしがちですが、フォーム作りの段階では、まずけのびと面かぶりクロールで一直線を覚え、そこで崩れない姿勢を基準に各動作を足していくほうが結果的に上達が早くなります。
頭の位置を固定する
クロールでフォームが乱れる人の多くは、息継ぎの瞬間だけでなく、泳いでいるあいだずっと頭が前方へ上がり気味になっています。
視線が前に行くと首が起き、首が起きると胸が反り、胸が反ると腰と脚が沈むため、頭の位置は一か所だけの問題ではなく、全身の姿勢を決める起点になります。
基本は真下より少し前を見る程度で十分で、頭を持ち上げるより、後頭部から背中までが自然につながる位置を保つ意識のほうが安定しやすく、息継ぎをしない局面では頭をなるべく静かにしておくほどフォーム全体がまとまります。
頭が暴れると、伸びている側の腕も早く下がりやすくなり、片側に体重が乗り切る前に次の動作へ移るため、かき急ぎと呼吸の苦しさが同時に起きやすくなります。
自分では真っすぐ見ているつもりでも実際は前を見すぎていることが多いので、プールの底のラインを追い続ける、顎を軽く引く、耳の後ろに水が当たり続ける感覚を持つと、頭の位置を修正しやすくなります。
ローリングを使って肩と体幹を連動させる
クロールは腕だけで回す泳ぎではなく、身体を左右に適度に開きながら、肩と体幹を連動させて前へ進む泳ぎです。
この身体のひねりがローリングで、上半身を少し傾けることで、前へ伸びる腕が長く使え、かく側の腕も無理なく後ろまで押しやすくなり、呼吸のための空間も作りやすくなります。
ルネサンスのコーチ解説でも、上半身をいっしょにひねって傾けることで腕を大きく動かせること、肩の力を抜いてローリングを意識すると負担を減らせることが示されています。
ただし、ローリングは大きければよいわけではなく、回しすぎると蛇行して進行方向がぶれ、呼吸側だけ深く倒れる癖がつくと、片側に頼るアンバランスなフォームになってしまいます。
理想は、片腕が前で伸びている瞬間にその側の肩が少し前へ出て、反対側の肩が後ろへ開く自然な回旋であり、肩甲骨から大きく抜けるように腕を戻せると、見た目にも無駄の少ないフォームに近づきます。
キックは大きさより細かい推進力を意識する
クロールのキックは、派手に水しぶきを上げるための動きではなく、水平姿勢を支えながら前進を補助するための動きとして考えると、フォームが安定しやすくなります。
膝だけを曲げて下に蹴ると、太ももが沈み、足先が水の抵抗を受けやすくなってしまうため、股関節から細くしなるように動かし、膝は結果として少し曲がる程度に収めるのが基本です。
コナミスポーツクラブの解説では、バタ足は膝を曲げすぎず大きく蹴りすぎないことが整理されており、ルネサンスの解説でも、ダウンキックとアップキックを同じくらい意識して水をとらえることが紹介されています。
フォームが崩れる人ほど、進まないぶんをキックの強さで埋めようとして脚を大きく振りますが、その補償動作がかえって腰落ちを強め、呼吸のたびにキックが止まる悪循環を招きます。
足首を柔らかく使い、つま先が軽く伸びた状態で、水を真下に蹴るより後ろへ送り出す感覚を持てると、キックの仕事は増えすぎず、ストロークを邪魔しない安定したフォームに変わっていきます。
キャッチからプッシュまで後ろへ押す
クロールのストロークでは、手を速く回すことより、水をどの方向に押しているかのほうがフォームの質を左右します。
入水した手をすぐに下へ押してしまうと身体が持ち上がって見えても前には進まず、肩も詰まりやすいため、前腕と手のひらで水をとらえたあと、できるだけ後方へ水を送る軌道を作ることが重要です。
とくに初心者は、前で伸びた手を待てずにすぐ引き始める、かいた手が太ももの横まで届かない、抜き上げが親指主導になるといった癖が出やすく、これらはすべて前進量の低下と肩への負担につながります。
ルネサンスの解説では、水中では手のひらの面で後方へ押す意識と、リカバリーでは小指から抜く意識が示されており、この流れを守るだけでもストロークの効率はかなり改善しやすくなります。
ひとかきごとに少しでも前へ乗れる感覚があるかを確認しながら、前で伸びる時間を短くしすぎず、後ろまで押し切ってから抜くことで、見た目の忙しさが減り、楽に進めるフォームへ近づきます。
息継ぎは吐く準備が先にある
クロールのフォームを崩す最大の要因は、息を吸う瞬間ばかりに意識が向き、水中で吐く準備が不足することです。
呼吸は、顔を出して吸う動作だけで完成するのではなく、水中で無理なく吐き続け、必要な量だけを横で素早く吸う流れとして考えると、頭が上がりにくくなり、フォーム全体が安定します。
- 水中では鼻からゆるく吐き続ける
- 吸う前に吐き切ろうと焦りすぎない
- 顔は前ではなく横へ向ける
- 伸びている腕を下げずに呼吸する
- 吸ったら先に顔を戻してから次へつなぐ
コナミスポーツクラブの解説では、水中で鼻から吐いて横で吸うことや、伸びている腕を枕にするような息継ぎが示されており、ルネサンスの解説でも、水上で吸うことより水中で吐くことが先に整う大切さが強調されています。
息継ぎで苦しい人は、吸う量が足りないというより、吐けていないために次の吸気が浅くなっている場合が多いので、フォーム改善では呼吸回数を増やす前に、水中で落ち着いて吐けるリズム作りを優先したほうが失敗しにくくなります。
正しいフォームかどうかは五つの基準で見分ける
クロールのフォームは感覚だけで判断すると主観に引っ張られやすいため、見るべき基準を絞って確認すると修正が早くなります。
とくに、頭の位置、腰の高さ、片腕が前で残る時間、呼吸で顔が上がる量、キックが止まる瞬間の有無は、動画や第三者の目でも確認しやすい要素です。
| 見る場所 | 整っている状態 | 崩れている状態 |
|---|---|---|
| 頭 | 視線が底へ向く | 前を見て首が起きる |
| 腰 | 水面近くを保つ | 呼吸で沈みやすい |
| 前腕 | 前で少し待てる | すぐ引いて忙しい |
| 呼吸 | 横で短く吸える | 前に上がって長い |
| キック | 細く続いている | 呼吸で止まる |
この表で二つ以上当てはまる崩れがあるなら、問題は一か所ではなく連動して起きている可能性が高く、呼吸だけ、キックだけの部分修正で済まそうとすると改善が頭打ちになりやすくなります。
正しいフォームとは、見栄えの良い泳ぎを真似ることではなく、自分の身体で抵抗が少なく、呼吸を入れても形が大きく崩れない状態を再現できることなので、基準を決めて振り返る習慣が上達を安定させます。
クロールのフォームが崩れる原因を先に知る

フォームを直したいときに、いきなり理想の泳ぎを追いかけるだけでは、今の自分が何でつまずいているのかが見えにくくなります。
クロールは一つの動作が悪いから崩れるというより、頭の位置、呼吸、キック、腕の軌道が少しずつズレ、そのズレを別の動作で補っているうちに全体が苦しくなるケースが多い泳ぎです。
ここでは、足が沈む、息継ぎで止まる、腕だけが疲れる、左右差が大きいといった、フォーム不良で起こりやすい現象を先に整理し、自分の課題を見つけやすくします。
伸びないフォームに共通する癖を整理する
クロールで進まない人には、力が足りないというより、水の抵抗を自分で増やしてしまう癖が複数重なっていることがよくあります。
どれか一つだけを直すより、まずよくある癖の全体像を知っておくと、自分の泳ぎを見たときに原因の見当がつけやすくなり、練習メニューの選び方もぶれにくくなります。
- 呼吸で頭が前に上がる
- 伸びている腕が早く沈む
- 膝から大きくバタ足を打つ
- かいた手が途中で水面へ抜ける
- 片側の呼吸だけで身体がねじれる
- 速く回そうとして脱力できない
これらの癖は別々に見えても、実際は呼吸の苦しさを減らそうとして頭を上げる、頭が上がるから脚が沈む、脚が沈むからキックを強くする、強いキックで身体が乱れるというように連鎖しやすいのが厄介なところです。
だからこそ、クロールのフォーム改善では、最初からすべてを直そうとするのではなく、自分の泳ぎで最も連鎖の起点になっている癖を一つ見つけることが、遠回りに見えて最短の修正になります。
症状別に崩れ方を見分ける
フォーム不良は感覚で語ると曖昧になりやすいので、泳いだときに何が起きるかという症状から逆算して考えると、修正ポイントがはっきりします。
たとえば、25mで苦しくなる人と、肩だけが疲れる人と、キックばかりしんどい人では、見直すべき場所が同じとは限りません。
| 症状 | 起こりやすい原因 | まず直したい場所 |
|---|---|---|
| すぐ苦しい | 水中で吐けていない | 呼吸のリズム |
| 足が沈む | 頭が上がる | 視線と胸の向き |
| 肩が痛い | 腕だけで回している | ローリングと抜き方 |
| 進まない | 後ろへ押せていない | キャッチからプッシュ |
| 左右差が大きい | 片側呼吸に依存 | 呼吸側の姿勢 |
症状から原因を推定できるようになると、ただ頑張って泳ぐ練習から、何を確認するためにそのドリルを行うのかが明確な練習へ変わり、フォーム修正の再現性が高くなります。
なお、痛みが出る場合はフォームだけでなく可動域や疲労の問題も関わるため、無理に泳ぎ込みで解決しようとせず、負担の少ない動きに戻して確認する姿勢が大切です。
力みがフォームを壊す理由を理解する
クロールで一見がんばっているように見える泳ぎほど、実際には余計な力みが多く、フォームを保つために必要な感覚を失っていることがあります。
肩、首、太もも、足首に無駄な力が入ると、水に身体を預ける感覚が薄れ、呼吸で焦る、腕を速く回しすぎる、キックを強く打ちすぎるといった補償動作が起こりやすくなります。
とくに初心者は、止まりたくない気持ちから常に全力に近い出力で泳ぎがちですが、フォーム改善に必要なのは、強く動くことより、少ない力で形を保ちながら前へ滑る時間を感じ取ることです。
ルネサンスの解説でも、クロールを楽に泳ぐコツの一つとして脱力が最初に置かれており、呼吸の前に力を抜いて水中で吐けることが、結果として自然な吸気につながる考え方が示されています。
力みを抜くことは手を抜くことではなく、必要な場所だけを使う準備なので、フォームがまとまらない時期ほど、ゆっくり泳いで崩れない形を探す練習を軽視しないことが重要です。
クロールのフォームを直す練習順を決める
フォーム改善が続かない人の多くは、練習量が足りないというより、どの順番で何を身につけるかが曖昧なまま泳いでいます。
クロールは、一直線の姿勢、呼吸なしで進む感覚、片側ずつの動作、呼吸を入れた全体動作という順で積み上げたほうが、部分修正が全体の泳ぎに反映されやすくなります。
ここでは、初心者から中級者まで使いやすい、フォームを崩しにくい練習順を示し、闇雲に泳ぎ込まなくても質を上げやすい考え方をまとめます。
けのびと面かぶりで土台を作る
クロールのフォームを直すなら、最初に戻るべき練習はフルストロークではなく、けのびと面かぶりのクロールです。
けのびでは一直線の姿勢が作れているか、面かぶりでは呼吸を入れない状態で頭の位置、腕の前残り、キックの細さが保てるかを確認できるため、フォームの土台を切り分けて見直せます。
ここで姿勢が保てないまま息継ぎ付きのクロールへ進むと、呼吸のせいで崩れているのか、そもそも呼吸なしでも崩れているのかが分からず、修正が毎回あいまいになります。
まずは短い距離で、けのび5mから面かぶりクロール5mから10mへつなげ、頭が静かに保てるか、脚が沈まないか、ひとかきごとに前へ乗れるかを確認するだけでも、フォームの基準がかなり明確になります。
遠回りに見えても、土台の確認を飛ばさないことが、呼吸を入れたときに一気に崩れる状態を防ぎ、結果としてフォーム改善の定着を早めます。
ドリルは目的を一つに絞って選ぶ
ドリル練習は数をこなすことより、何を直すために行うのかを一つに絞ることで、クロールのフォーム改善に効きやすくなります。
ひとつのドリルに姿勢、呼吸、キック、キャッチの全部を求めると注意点が増えすぎてしまうため、今日は頭の位置、今日は呼吸で顔を上げないこと、というように狙いを絞るほうが体感と結果が一致しやすくなります。
- けのびは一直線の確認に使う
- 面かぶりは頭の静かさを整える
- 片手クロールは呼吸側の姿勢確認に使う
- サイドキックはローリング感覚を作る
- キャッチアップは前で待つ時間を覚える
- ビート板キックは腰の高さを観察する
同じドリルでも、何を感じたいのかが決まっていないと、ただこなしただけで終わりやすいので、一本ごとに確認項目を一つだけ決めるほうが、フォーム改善の精度はむしろ高くなります。
ドリルでできたことがフルストロークで消える場合は、距離が長すぎるか、テンポが速すぎることが多いため、まずは短い距離で成功率を上げ、その感覚を少しずつ通常のクロールへ移していくのが効果的です。
短時間でも質を上げやすい練習構成を作る
毎回長い時間泳げなくても、順序を整えればクロールのフォームは十分に改善できます。
大切なのは、いきなり本数をこなすのではなく、姿勢の確認、部分練習、全体動作への接続という流れを毎回同じように回し、自分の基準を固定することです。
| 段階 | 内容 | 狙い |
|---|---|---|
| 導入 | けのびと面かぶり | 水平姿勢を確認 |
| 部分 | 片手やサイドキック | 呼吸とローリング修正 |
| 接続 | 25mをゆっくり泳ぐ | 崩れず再現する |
| 確認 | もう一度短く泳ぐ | 修正点の定着を見る |
このように流れを固定すると、今日は何が良くて何が悪かったのかが振り返りやすくなり、調子に左右されにくいフォーム作りができます。
練習の最後だけ速く泳いで確認するのは有効ですが、崩れたフォームで終わると悪い感覚が残るので、締めはもう一度ゆっくり整えて終えるほうが、次回につながる質の高い練習になります。
息継ぎとテンポを合わせるとクロールのフォームは安定する

クロールのフォームは姿勢だけで完成するわけではなく、どのテンポで腕を回し、そのテンポに呼吸をどう乗せるかまで整って初めて安定します。
頭の位置が良くても、息継ぎのたびに一拍止まる泳ぎでは前へ乗る流れが切れ、キックやストロークの力が毎回リセットされてしまいます。
ここでは、呼吸とストロークの間にありがちなズレを整理し、苦しくならずにリズムを作るための考え方を、初心者にも再現しやすい形でまとめます。
息継ぎで止まる人は顔を戻す順番を見直す
クロールで息継ぎのたびに失速する人は、吸う瞬間ではなく、吸ったあとに顔を戻す順番が崩れていることがよくあります。
呼吸が長くなると、伸びている側の腕が沈み、次のかき出しが早まり、身体が前へ乗る前に落ちてしまうため、結果として一回ごとにブレーキをかけるような泳ぎになります。
大切なのは、口が水面から出る最小限の角度で素早く吸い、吸い終わったら腕の戻りを待たずに先に顔を水へ戻して、頭の位置を元のラインに戻すことです。
コナミスポーツクラブの解説でも、腕が戻る前に顔をつける流れが示されており、この順番を守るだけでも、息継ぎの長さと頭の上下動をかなり抑えやすくなります。
呼吸が苦しいときほど長く顔を出したくなりますが、実際にはその動作が次の一かきの質を落とすので、吸う量を増やすより、短く戻すことを練習したほうがフォームは安定しやすくなります。
テンポを崩さない呼吸のコツを整理する
呼吸を入れてもテンポが乱れないフォームを作るには、吸う行為だけを特別扱いせず、ストロークの流れの一部として扱う意識が有効です。
とくに、呼吸側だけ腕の回転が速くなる、吸う前に止まる、吸ったあとに急いでかくといった癖は、本人が気づきにくいわりにテンポを大きく乱します。
- 吸う前に止まらない
- 呼吸側だけ回転を速めない
- 吸ったらすぐ頭を戻す
- キックを呼吸で止めない
- 前の腕を落とさずに待つ
テンポを整えたい時期は、左右交互呼吸を無理に増やすより、まず呼吸しやすい側で短く安定した呼吸を作り、その後で反対側にも広げるほうが、フォームの乱れを最小限に抑えられます。
呼吸回数を減らせば速く見えることもありますが、フォームが未完成の段階で無理に少なくすると、水中で息を止める癖が強まり、結果として頭が上がるため、まずは楽に回るテンポを見つけることが先決です。
呼吸回数は目的に合わせて選ぶ
クロールの呼吸回数に絶対の正解はなく、初心者が安定を優先するのか、長く泳ぎたいのか、テンポを上げたいのかで、選ぶべき形は変わります。
大事なのは、見栄えで呼吸回数を決めるのではなく、その回数でフォームが崩れず、必要な酸素を確保できるかで選ぶことです。
| 呼吸パターン | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 2ストロークごと | 初心者の安定 | 片側依存に注意 |
| 3ストロークごと | 左右差の調整 | 苦しければ無理しない |
| 5ストロークごと | 短距離の確認 | 息を止めやすい |
フォーム改善中は、苦しくなる前に呼吸できる回数を選び、そこで頭が上がらないこと、前の腕が落ちないこと、キックが止まらないことを優先したほうが、結果的に美しく効率の良いクロールへつながります。
速く泳ぐ人の真似をして少ない呼吸回数に合わせるより、自分の今のテンポで崩れない回数を選ぶことが、フォームを育てる段階ではずっと重要です。
速く泳ぎたい人と長く泳ぎたい人では整え方が変わる
クロールのフォームには共通の土台がありますが、目指すゴールが違えば、どの感覚を強めるかは少し変わります。
25mや50mを速く泳ぎたい人は、前へ乗る時間を保ちつつテンポを上げる調整が必要ですし、長く楽に泳ぎたい人は、力みを減らして呼吸の余裕を増やす調整が重要になります。
ここでは、同じクロールでも目的別にどこへ重心を置いて整えると効果が出やすいのかを整理し、自分に合うフォーム作りへつなげます。
スピード重視なら前で止まらず後ろまで押す
速く泳ぎたい人が意識したいのは、ただ回転数を上げることではなく、前で長く止まりすぎず、それでも雑にかかず、後ろまで押し切る強い一かきを作ることです。
フォームが未完成なままテンポだけ上げると、水をとらえる前に腕が抜け、呼吸も浅くなり、見た目は速くてもタイムが伸びにくい状態になります。
スピード重視では、頭の上下動を減らし、ローリングを使って肩の通り道を作りながら、キャッチからプッシュまで水を逃がさない感覚が重要で、キックも姿勢維持だけでなく推進の補助として少し活かしやすくなります。
ただし、速さを求める人ほど力みやすいので、一本ごとにフォームが崩れていないかを確認し、進みが悪くなったらテンポではなく姿勢へ戻る習慣を持つほうが、長期的には記録の伸びが安定します。
スピード用のフォームとは大きく荒々しい泳ぎではなく、余計な上下動や左右動が減り、ひとかきの中で前へ進む圧が増した状態だと考えると、修正の方向がぶれにくくなります。
長く泳ぎたいなら省エネの形を優先する
長く楽に泳ぎたい人は、速さそのものより、ひとかきでどれだけ無駄なく進めるかに意識を置いたほうが、クロールのフォームがまとまりやすくなります。
泳ぎ続けられない人の多くは持久力不足より、呼吸で形を壊し、壊れた形をキックと腕力で支えようとして先に疲れているので、まずは省エネの仕組みを作ることが重要です。
- 頭を静かにして上下動を減らす
- 呼吸は短く横で行う
- 前の腕を急いで落とさない
- キックは細く続ける
- 腕力よりローリングを使う
この方向で整えると、泳ぎの派手さは減っても、心拍の上がり方が穏やかになり、距離を重ねてもフォームが崩れにくくなるため、結果として見た目もきれいなクロールになっていきます。
長く泳ぐことを目的にする人は、一本の中で最後まで同じ形を保てるかを評価基準にし、序盤だけ勢いのある泳ぎより、終盤まで静かに進めるフォームを優先するのが上達の近道です。
目的別に見るフォームの違いを比較する
同じクロールでも、重視するポイントを整理しておくと、練習中に今の意識が合っているかを判断しやすくなります。
以下の表は、速さを優先する場合と、楽に長く泳ぐことを優先する場合で、何を強めると効果が出やすいかをまとめたものです。
| 項目 | 速さ重視 | 長さ重視 |
|---|---|---|
| テンポ | やや高め | 落ち着いて一定 |
| 呼吸 | 短く鋭く | 楽に安定して行う |
| キック | 推進も使う | 姿勢維持を優先 |
| ストローク | 後ろまで強く押す | 前後の流れを切らさない |
| 確認点 | 前進量と回転数 | 疲れても形が崩れないか |
もちろん実際の泳ぎでは両者が完全に分かれるわけではありませんが、目的を決めずに全部を同時に求めると、フォーム改善の軸が定まらず、中途半端な力みだけが残りやすくなります。
まずは自分が今ほしい成果を一つ選び、その目的に合った基準でフォームを見ることで、練習の迷いが減り、修正点も明確になります。
今日の練習で意識したいクロールのフォームの整え方
クロールのフォームを良くするために最も大切なのは、腕をどう回すかだけを追いかけるのではなく、水平姿勢を土台にして、頭の位置、ローリング、キック、ストローク、息継ぎを一つの流れとしてつなげて考えることです。
そのうえで、自分の泳ぎが崩れる起点がどこにあるかを見つけ、けのびや面かぶりのような土台の練習から、目的を絞ったドリル、短い距離での再現確認へと順番に積み上げると、フォーム改善は感覚頼みではなく再現できる技術に変わっていきます。
息継ぎが苦しいなら水中で吐く流れと顔を戻す順番を見直し、足が沈むなら視線と胸の向きを整え、肩が疲れるなら腕だけで回すのをやめてローリングを使うように、症状から原因へ戻る視点を持つことが、遠回りに見えて実は最短です。
今日の練習では、まず一本だけでも、頭を静かにする、前の腕を落とさない、吸ったらすぐ顔を戻すという三つを意識してみてください。
その三つがそろうだけでも、クロールのフォームは驚くほど安定しやすくなり、きれいに見えるだけでなく、楽に進める感覚や距離の伸びとして、はっきり違いが感じられるはずです。


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